最新220系クラウンパトカーはハイブリットとターボガソリン車

最新220系クラウンパトカーはハイブリットとターボガソリン車

2021年6月4日 

2021年5月6日記事掲載

2021年6月8日追記

警察庁から資料が届きましたので、こちらに詳細を記載しました

令和3年度のクラウンパトカーは、220系に確定しました。

根拠は、メーカーが警察庁へ提出する製作図面承認申請書という図面や諸元表の提出が義務付けられていますが、8日現在、無線警ら車、交通取締用四輪車(白黒)の提出はされたとのことですが、交通取締用四輪車(反転警光灯)いわゆる覆面の図面の提出がされていません。従来の210系ならば同時にされるはずです。

おそらく、屋根をくり抜く金型の製作が遅れていると思われます。屋根をくり抜くには、大型のプレスの金型を新たに製作する必要があると言われており、金型の製作が完了しなければ、工程表(日程表)の提出ができません。

また、ハイブリットかターボガソリン車かというところについては、トヨタレスキューに掲載されていました<https://global.toyota/jp/your-vehicle/quick-reference-sheet/

4WDがハイブリット車であることは、下記の記述の通りで明らかでしたが、無線警ら車2WDについてはターボガソリン車であることが判明しました。



トヨタレスキューより

ただ、交通取締用四輪車は、明らかになっていませんが、おそらくターボガソリン車になると思われます(下記記述の案1)。

-------------------追記ここまで--------------------------

現在の市販車クラウンがマイナーチェンジが令和2年の11月でパトカー製作には間に合わず。理由は定かではないですが、マイナーチェンジしたクラウンしかパトカーにならない前例を踏襲し、令和2年度のクラウンパトカーは、一世代前のクラウン、従来の210系のパトカーが納入されました。

なぜマイナーチェンジしたモデルしかパトカーにならないのか?諸説がありますが、よく聞くのはモデルとして成熟している、つまり、フルモデルチェンジ直後のモデルを使用するとリコールが付き物で、場合によっては回収されるまでパトカーが使用できないという状況にもなりかねません。

クラウンは2年から3年周毎にマイナーチェンジ、フルモデルチェンジをしていますが、モデルチェンジしてから2年目で落ち着いたのでパトカーにというところで、今度はマイナーチェンジが入るわけで、そうならば、マイナーチェンジをしたモデルをパトカーにした方がよいというのが有力です。

今回、令和3年度のパトカーがなぜ注目されるのか?というと、現行の市販車クラウンがマイナーチェンジされて初めて迎える年なのです。しかも、現行の市販車は殆どがハイブリット車で、ついにクラウンパトカーも220系ハイブリットになるのか?という点で注目がされるのです。

現行クラウンの市販車

排気量 最高出力 (kW) 駆動方式
2.0L ターボガソリン車 180 後輪駆動
2.5L ハイブリット車 135 後輪駆動
2.5L ハイブリット車 135 フルタイム4WD
3.5L ハイブリット車 220 後輪駆動

細かいバリエーションはともかく、ハイブリット車が主流で、仕様書もそれを意識してか改定がされました。

無線警ら車2WDの新旧仕様書比較

平 成31年1月7日改定 排気量 は、2,500cc級以上であること。
令和2 年12月14日改定 排気量は、2,500cc級以上であること。ただし、排気量が2,000㏄級以上2,500㏄未満のものにあっては、最高出力135kW以上であること。

但し書きで「排気量が2,000㏄級以上2,500㏄未満のものにあっては、最高出力135kW以上であること」と追加されました。

交通取締用四輪車

平 成31年1月8日改定 排気量 は、3,000㏄級以上であること。
令和 3年1月6日改定 排気量は、3,000㏄級以上であること。ただし、排気量が2,000㏄級以上3,000㏄級未満のものにあっては、最高出力150kW以上であること。

こちらも、但し書きで「排気量が2,000㏄級以上3,000㏄級未満のものにあっては、最高出力150kW以上であること」と追加されました。しかも大幅な排気量のサイズダウンです。

仕様書が意味するところ

官庁の入札にあっては、仕様書の内容に合致したものでなければなりません。したがって、仕様書が「2,500㏄以上」と定めてたら2,500㏄以上の車を納入しなければならず、それを下回ることは許されません。

今回、改定で2,000㏄以上と緩和されたことにより、先ほどの市販車の表を見ていただくと、2.0Lターボガソリン車が納入可能になったわけです。

しかも、交通取締用四輪車も2,000㏄以上と大幅に緩和され、最高出力が150kW以上、先ほどの市販車の表の2.0Lターボガソリン車の最高出力は180kWと優に仕様書を満足させることができるのです。

210系無線警ら車

では、150kWはどこから来た数値か?想像ですが、210系無線警ら車が149kW(カタログ参照)です。他方で、210系の交通取締用四輪車は232kWで、本来、この数値が良いのでしょうが、現行のクラウンの数値は3.5Lでもこれには及びません。

ここまで見てくると、なるほど次期クラウンパトカーは2.0Lターボガソリン車だな、と思えてきます。

では、次に無線警ら車の135kWどこから来たか?これは市販車のクラウンのハイブリット車の数値を取ったと思われます。「えっ、ターボガソリン車って言ってたのに矛盾する」と思われると思います。

実は、無線警ら車は2WDと4WD(4WDの仕様書)の2種類が必要で、4WDは山間部や降雪地域に配属されます。2WDの地域に4WDが入ったレガシィパトカーの実績があり ますが、4WDの仕様書には4WD車が必須です。

先ほどの市販車の表を見ていただくと実は、2.0Lターボガソリン車に4WDが無いんです。そうすると必然的にハイブリットになります。

トランクの容量問題

仕様書にはトランクの容量が記載されています。なぜか以前から無線警ら車と交通取締用四輪車で容量が異なるのですが、無線警ら車が450L、交通取締用四輪車が430Lと定めがあります。

ところが、現行の市販車クラウンのトランク容量が下記の通りです。

市販車クラウンのトランク容量(VDA法)

3.5Lハイブリット車 378L
2.5ハイブリット車 431L
2.0Lターボガソリン車 431L

クラウントランク容量(トヨタHP)

トランクの容量が仕様書を満たしていないとヤフーニュースにも掲載されました。

先ほどの市販車のトランク容量が「VDA法」という方式によるものです。この方式は、1リットルの箱をトランク内に詰めて容量を測定するものです。

しかし、トランク内は複雑な形状で、この方法では、空間ができるのです。しかも仕様書には容量の測定方法の記載がありません。つまり、トランク内を全てを密に詰めて容量を積算するという方法があるわけです。

その方法による測定結果を私は持ち合わせていませんが、仕様書が改定されることなく入札の公告に掛けられたことから、トランク容量の問題はクリアーされたと見てよいでしょう。

その他の可能性

先日、ハイブリットのカムリが機動捜査用車として納車されたとの記事を書きました。カムリの可能性は?

カムリは、日本国内では2.5Lのみですが、2WDも4WDもあります。現在の仕様書は「後輪駆動方式」という項目が削除されているので、可能性としてカムリも行けるかと思いきや、最大出力が131kWとあと少しのところで仕様書の135kWに届きませんでした。

もう一つの可能性は、現行のクラウンではなく今回も従前の210系のクラウンパトカーを納入するというものです。

結局のところ?

以上のことをまとめると下記の表になります。

  無線警ら 車2WD 無線警ら 車4WD 交通取締 用四輪車
案1 2.0Lターボガソリン車 2.5L 4WDハイブ リット車 2.0Lターボガソリン車
案2 2.5L 2WDハイブ リット車 2.5L 4WDハイブ リット車 ※3.5Lハイブリット車
案3 従前の210系クラウンパトカー

案1は、仕様書に垣間見る「ガソリン車が良い」という警察庁の思いが伝わってきます。ハイブリットはそもそも原価が高くなりパトカーの購入額が跳ね上がります。もう一つにハイブリット車は故障したときに部品が高いですから、警察庁の思いとしては、交通取締用四輪車も2,000㏄以上であれば良いと言ってるくらいですから、ガソリン車にしたいというのが本音ではないでしょうか?

案2は、トヨタが頑張って安価ですべてハイブリット車で納める、というものです。ただ、交通取締用四輪車がトランク容量が前記の通り他よりも少ないので、微妙です。

案3は、まだ210系を作り続けるというもので、可能性としては低いと思っています。

結局のところ、製作図面がメーカーから提出されるまで判らないというのが本当のところです。7月ごろには判明するでしょう。

以上