65型警棒 開発中

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65型警棒 開発中

2021年11月5日 

2021年10月5日材質について加筆

2021年7月16日記事掲載

65型警棒を開発しており、ロック機構にこだわりすぎて特許取得までしました。現在、3Dプリンターによる製作まで完了していますので、そちらを公開します。

まず、65型警棒ですが、スペックは下記の通りです。

上記の図は、法令集で公開されています。

私が製作した画像は、下記のものです。

材質はPA12という強化ナイロンがおもな素材で、難点は表面がザラザラしている点です。


製作したCAD画像

大きさは先ほどの図にあります通り26㎜、細い方が19㎜になっています。

市販されている従来の樹脂製の65型警棒やノーベル製の警棒は24.5㎜程しかなくこちらを触ると太く感じると思います。


CAD画像

グリップ部は27㎜よりやや大きいですが公差の範囲内です。

長さは上記の図の通り365㎜です。



伸ばして自動でロックされるのは当然ですが、縮める時は実際の65型警棒と同様に押しながら回して収納します。本物はどういう仕組みか知らないですが、私のこの仕組みは特許取得済みです。


ちなみにノーベルの警棒の寸法測定は下記の通りです。

外径24㎜、中の棒の部分18㎜、65型警棒より一回り小さいですね。






材質について

65型警棒の材質はアルミですが、一口にアルミといっても純粋なアルミから銅が混ぜられているジュラルミンまで様々です。

65型警棒の材質は非公開ですが、材料工学の面から考えてみました。

アルミニウムは、純なアルミから合金に至るまで様々な特徴があります。

合金系 添加物 特徴
1000系 純アルミ 加工性、耐食性、溶接性に優れているが強度が低い
3000系
マンガン
加工性、耐食性を低下させずに強度を少し高めたもの
5000系
マグネシウム
加工性、耐食性が3000系以上の強度を有し海水に対する耐食性にも優れている
2000系
銅、マグネシウム
ジュラルミンとして知られ、強度は鉄の鋼材に匹敵するが耐食性、応力腐食割れに注意が必要

もう少し細かくありますが、主に上記の通りのアルミ合金等があります。

ノーベル製の警棒は、ジュラルミン製とされていますが、ジュラルミンは上記ので観ていただくと耐食性に弱いことがわかります。これは、銅が添加物として使われているためで、銅は酸化に弱いためです。

それを補うためノーベル製警棒はアルマイト処理という表面処理により補っています。アルマイト処理とは、電解液中で通電させることで表面を強制的に酸化させることで酸化被膜によりコーティングさせるものです。このコーティングにより、内部が耐食されるのを防ぐのです。

東信工業 アルマイト処理とは?

他方で、65型警棒は塗装です。おそらくカチオン電着塗装という液中に部品を入れて電気の力で塗装被膜を付ける方法です。

車の足回りの部品によく利用されている技法です。

カチオン電着塗装とアルマイト処理の違いは、塗装はあくまで塗膜が表面に乗っているだけなのではがれやすいという弱点があるのに対し、アルマイト処理は材料に対しての表面処理で、材料の表面に酸化被膜で被膜の浸透度合いによって保護します。

では、65型警棒の材質はどちらが利用されているか?

最大の疑問点ですが、65型警棒がアルマイト処理でなく電着塗装である点から考察すると、耐食性に弱い2000系、いわゆるジュラルミンが使われている可能性はゼロです。

65型警棒は、ほぼ99.9%が屋外で使用されることが想定され、場合によっては雨や雪、潮風にさらされる過酷な使用状態に置かれます。それが、ジュラルミンを電着塗装の処理で済ませようというのは考え難いです。ノーベル警棒がアルマイト処理されたのはやはりジュラルミンであることが考慮されたためと思われます。

では、次の候補は、強度があり耐食性に優れている5000系ではないかと考えます。5000系は加工性にも優れており、廉価な加工賃で加工が可能です。1本あたり7千円から9千円で製作できるためには、加工がしやすくなければなりません。

以上が、材料工学の面から考察した65型警棒の材質でした。